この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
5年前に亡くなった母の相続では、父が全ての遺産を取得することに同意し、事実上相続を放棄した。将来の父の相続において、父の遺産を依頼者と妹の2人で平等に分ければいいと考えたからである。しかし、父は遺産の全てを妹に譲渡するという内容の遺言を残して亡くなり、妹が遺産の全てを取得した。結局、依頼者は両親の相続から完全に排除された。このようなことになると分かっていたら、亡母の遺産を放棄しなかった。
解決への流れ
亡母及び亡父の遺産を全て妹が取得し、その代償として依頼者に対して850万円を支払う内容の遺産分割調停が成立した。亡母の相続については、同人名義の預貯金を調査したところ、亡父及び妹の2名で預貯金を分割しており、合意違反の事実が確認できたので、妹に対して依頼者の法定相続分相当額の返還を請求した。亡父の相続については、同人名義の預貯金の取引履歴を調査したところ、亡父の生前に妹が同口座から多額の金員を引き出していた事実が確認できたので、妹に対する損害賠償債権を亡父の遺産に追加した上、妹に対して遺留分侵害額を請求した。
亡母の相続に関しては、合意内容及び違反の事実の有無が、亡父の相続に関しては、妹の不法行為責任の成否が争われた。最終的に、依頼者が当初想定していた金額を350万円上回る請求が認められた。