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緊迫するウクライナ情勢 「ロシア」の軍事介入は「国際法違反」なのか?
2014年03月19日 11時02分

ウクライナをめぐる情勢が緊迫している。ヤヌコビッチ大統領がロシア寄りの姿勢に転じたのに対し、親欧米派の野党や市民が反発。激しいデモを繰り広げて、政権側と衝突を繰り返した末に、同大統領は解任されて政権は崩壊した。

その後、親欧米の新政権が誕生したことを受けて、ロシアのプーチン大統領はウクライナ南部のクリミア半島に軍を投入し、ウクライナ新政権をけん制するとともに、クリミアを事実上の支配下に置いた。3月16日には、クリミア自治共和国でロシアへの編入の是非を問う住民投票が実施され、賛成が圧倒的多数を占めた。

こうしたロシアの動きに対し、欧米諸国などは一斉に反発。欧州連合(EU)は「軍事介入は明確な国際法違反」と非難している。今回、具体的にはロシアの行動のどの部分が、国際法に違反していると言えるのだろうか。作花知志弁護士に聞いた。

ウクライナをめぐる情勢が緊迫している。ヤヌコビッチ大統領がロシア寄りの姿勢に転じたのに対し、親欧米派の野党や市民が反発。激しいデモを繰り広げて、政権側と衝突を繰り返した末に、同大統領は解任されて政権は崩壊した。

その後、親欧米の新政権が誕生したことを受けて、ロシアのプーチン大統領はウクライナ南部のクリミア半島に軍を投入し、ウクライナ新政権をけん制するとともに、クリミアを事実上の支配下に置いた。3月16日には、クリミア自治共和国でロシアへの編入の是非を問う住民投票が実施され、賛成が圧倒的多数を占めた。

こうしたロシアの動きに対し、欧米諸国などは一斉に反発。欧州連合(EU)は「軍事介入は明確な国際法違反」と非難している。今回、具体的にはロシアの行動のどの部分が、国際法に違反していると言えるのだろうか。作花知志弁護士に聞いた。

●「領域主権の侵害」は国際法に反する

「第一に、ロシアの行動は、武力を行使している点につき、それを違法としている国連憲章2条4項及び国際慣習法に違反しています。

第二に、ロシアによるクリミア半島への軍の投入とウクライナ新政権へのけん制は、国際法上国家の権利として認められている『領域主権』を侵害する点で、やはり国際法に違反するものです」

作花弁護士はこのように指摘する。武力行使が違法だということに加えて、他国の領域主権の侵害も認められるという。この領域主権とは、そもそも何なのだろうか。

「『領域主権』は国家が有する権利で、その領域内の全ての人と物を支配し、かつ他国の主権的権能の行使を排除することができる、とされるものです。

この『領域主権』も、やはり国際慣習法上認められた権利であり、国連憲章2条4項においても『領土保全または政治的独立』に対する武力の行使を禁止する形で、その権利が認められています。

今回のロシアの行動は、軍隊を使って、ウクライナ新政権とウクライナ国民による、国としての意思決定に不当な影響を与えようとしているものです。それは、ウクライナの『領域主権』を侵害するものとして、国際法上違法となります」

●「クリミアの住民が支持」というロシア側の主張は正当?

「一方で、ロシア側の反論としては、まず第一に、クリミアの住民がロシアを支持している、などと主張することが考えられます。

しかし、クリミアで住民投票などが行われても、それはウクライナ憲法の手続に従ったものでなければなりません。

また住民の意思があるという主張は、国際法上は違法であるロシアによる『軍の投入』とその影響が存在しない場合に、初めて言えることです」

ロシアの介入後に行われた意思表明は、信ずるに足りないということだろう。

「ロシア側の反論としては、第二に、『人道的介入』である、という主張が考えられます。

しかしこれは、他国で重大な人権侵害が行われている場合に、それを救済するために、第三国が国際的人権保障の観点から介入することが認められるのではないか、という国際法上の概念です。今回のウクライナやクリミアの場合は、それが認められないことは明らかでしょう」

作花弁護士はこのように指摘し、ロシア政府の軍事介入を厳しく批判していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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