15414.jpg
「朝まで生会議!」金曜深夜から職場で延々と仕事の議論…参加の強制は問題なし?
2017年12月07日 09時08分

チャーチャーチャッチャチャッチャー。毎月月末の金曜日に放送されるテレビ朝日の討論番組「朝まで生テレビ!」のスタイルを取り入れた「朝まで生会議!」がとある企業で、毎週金曜日の深夜に開かれていた。

テーマは「どうなるニッポンの政治」みたいなノリで、「どうなるわが社のサービス」というどこか漠然としたテーマ。金曜日の夕方から、じっくりと長時間かけて、部署のメンバー一同が仕事についてざっくばらんに語り合うものだったが、完全な強制参加だったため、この部署に在籍していた雅彦さんは大きな不満を抱いていた。

建設的な議論になるかと思いきや、平日でみんな疲れていることもあって、深夜零時ごろからグダグダになって、結局は朝に「各々頑張ろう。まずは今の予算達成」という身もふたもない結論で締めくくられていた。田原総一朗さんばりの仕切り屋もいないため、あるメンバーが「こんな会議やっても意味がないでしょ」とキレてしまい、この会議は何の成果もあげないままに終了してしまった。

一応スタートするのは平日ではあるものの、このような会議に深夜から明け方まで強制的に参加させることに法的な問題はないのだろうか。裁量労働制ということで、残業代の支払いはなかったそうだが、問題はないのか。山田智明弁護士に聞いた。

チャーチャーチャッチャチャッチャー。毎月月末の金曜日に放送されるテレビ朝日の討論番組「朝まで生テレビ!」のスタイルを取り入れた「朝まで生会議!」がとある企業で、毎週金曜日の深夜に開かれていた。

テーマは「どうなるニッポンの政治」みたいなノリで、「どうなるわが社のサービス」というどこか漠然としたテーマ。金曜日の夕方から、じっくりと長時間かけて、部署のメンバー一同が仕事についてざっくばらんに語り合うものだったが、完全な強制参加だったため、この部署に在籍していた雅彦さんは大きな不満を抱いていた。

建設的な議論になるかと思いきや、平日でみんな疲れていることもあって、深夜零時ごろからグダグダになって、結局は朝に「各々頑張ろう。まずは今の予算達成」という身もふたもない結論で締めくくられていた。田原総一朗さんばりの仕切り屋もいないため、あるメンバーが「こんな会議やっても意味がないでしょ」とキレてしまい、この会議は何の成果もあげないままに終了してしまった。

一応スタートするのは平日ではあるものの、このような会議に深夜から明け方まで強制的に参加させることに法的な問題はないのだろうか。裁量労働制ということで、残業代の支払いはなかったそうだが、問題はないのか。山田智明弁護士に聞いた。

●業務上の必要性があったのかどうか

「まず前提として、個々の労働者に時間外労働をさせることを強制できるかという問題という問題がありますが、この点については、就業規則等があり、業務上の必要性があれば許容されると解されています」

では、朝まで会議をすることも許容されるのか。

「この『業務上の必要性』というのは、実際上は比較的緩やかに理解されてはいますが、今回のように、業務上の必要性に明らかに疑問がある場合には、業務命令によって会議への参加を強制することはできません。

仮に、使用者(会社)側が、業務命令が無効となる場合に会議への参加を強制した場合は、不法行為として損害賠償責任を負う可能性もあります」

では、残業代が出ないことについては、どう考えればいいのか。

「裁量労働制は、実際の労働時間に関係なく、協定で定める時間数労働をしたものとみなす制度ですが、裁量労働制が適用されるためには、労働基準法上の厳格かつ様々な要件を満たす必要があります。

今回のケースでは、それらの要件を満たしているかは不明ですが、裁量労働制が適用になるには、そもそも仕事をするうえで、時間配分等について、裁量があることが前提となります。

しかし、今回は会議への参加が強制されていることなどで、裁量があったかがどうかが疑問視される可能性があります。

業務の裁量性が存在しないということになれば、裁量労働制が適用されず、その結果として、使用者側は労働者に対し、時間外・深夜労働の割増賃金を支払う必要があります」

(編集部補足:仮に裁量労働制であっても深夜労働の割増賃金は発生します)

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る