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夫の陰湿な経済的DV「お前は家計も管理できないダメ人間」…離婚で依存からの脱出
2018年02月17日 09時36分

「お金に細かい旦那が嫌になってきた」。そんな投稿が、子育て情報サイト「ママスタ」の掲示板に寄せられていた(http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=2978707)。

投稿主によれば、夫は「一円単位で計算合わないとイライラ。レシートの明細や内容がわかりにくいとイライラして声を荒げる」そうだ。そのため「ちょっとランチしたり化粧品買ったりするのも何となく気を遣って息が詰まってくる」と、追い詰められていることを告白している。

レスには、同じような状況の方から「私が愚痴を言うと、そんな言い方するからお金あげたくない。やりくりが下手なんだろ。交渉するならもっと上手にしろ」と言われたとの体験も寄せられた。また「経済的DVなのでは?」という指摘もあった。

「経済的DV」とはどのような状況をさすのだろうか。また法的な離婚理由にもなるのか。早川雅子弁護士に聞いた。

「お金に細かい旦那が嫌になってきた」。そんな投稿が、子育て情報サイト「ママスタ」の掲示板に寄せられていた(http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=2978707)。

投稿主によれば、夫は「一円単位で計算合わないとイライラ。レシートの明細や内容がわかりにくいとイライラして声を荒げる」そうだ。そのため「ちょっとランチしたり化粧品買ったりするのも何となく気を遣って息が詰まってくる」と、追い詰められていることを告白している。

レスには、同じような状況の方から「私が愚痴を言うと、そんな言い方するからお金あげたくない。やりくりが下手なんだろ。交渉するならもっと上手にしろ」と言われたとの体験も寄せられた。また「経済的DVなのでは?」という指摘もあった。

「経済的DV」とはどのような状況をさすのだろうか。また法的な離婚理由にもなるのか。早川雅子弁護士に聞いた。

●「自分の意のままに操ろうとする」

「経済的DVとは、経済的に依存している親しい関係にある者に対して、生活費として少額の金銭だけしか渡さず、自分の意のままに操ろうとすることを言います。身体的暴力同様、相手を支配する手段として利用されるものです」

具体的には、どのような言動があるのだろうか。

「相手方に少しでも弱みがあれば、執拗に陰湿な攻撃が加えられます。

言われた側は、毎日のように『お前は家計も管理できないダメな人間だ』と攻撃され続けた結果、自己肯定感が完全に喪失し、無力感を感じるようになります。配偶者が帰ってくる足音を聞くと、動悸が始まり、息苦しさを感じるなどの身体的な症状が出ることもあります」

●「自分が悪くないことを認識する」ことの難しさ

被害から逃れるためには、まず別居をするべきなのだろうか。

「ようやく別居に至り、攻撃から逃れたからと言っても、被害からすぐに回復できるわけではありません。攻撃され続けた結果、自己肯定感が全く無くなっており、自分を責める気持ちがあるからです。

被害から克服し、離婚の決意をするには、DVについて理解し、自分が悪くないことを認識しなければなりません。被害者にとって、ここがまず大きなハードルです」

●「離婚した方が良いと相手方に思わせること」

離婚を希望しても、相手が応じない可能性もある。その場合には、調停、裁判離婚へと進むが、「経済的DV」は法律上の離婚原因となるのか。

「経済的DVは、法律上の離婚原因に該当しませんので、訴訟では、棄却される可能性があります。別居期間が長くなれば、『その他婚姻を継続し難い重大な事由』(民法770条1項5号)があるとして、認められるでしょう。

早く離婚を成立させるためには、調停で離婚するのが妥当です。具体的には、離婚調停と婚姻費用分担調停を同時に申立て、養育費より高い婚姻費用を払うよりも、離婚した方が良いと相手方に思わせることです」

経済的DVの被害者には、専業主婦が多く、離婚後の生活への不安から、別居や離婚に踏み切れないようだ。

「経済力のなさは、養育費の他、児童手当、児童扶養手当、医療費補助、公営住宅への入居、ハローワークの職業訓練、資格取得の補助金等、1人親家庭を援助する制度を最大限利用することで補って下さい。離婚後、奨学金を利用して看護師になっている人も多くいます」

弁護士ドットコムニュースでは、恋人やパートナーとの間で起こる「DV」に関する取材を続けています。「(夫やパートナーから)望まない性行為を強要された」「暴力を振るわれている」「妻から毎日暴言をぶつけられる」「シェルターに入ったあとも追いかけられた」などの体験がありましたら、以下からLINE友だち登録をして、ぜひご連絡ください。

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(弁護士ドットコムニュース)

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