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はみ出した車に衝突されたのに「4000万円」の賠償責任、判決は「理不尽」なのか?
2015年04月26日 10時47分

自動車を運転していたら、対向車線の車が居眠り運転でセンターラインをはみ出し、自分の車に衝突した。そんな「もらい事故」で、過失がなかったことを証明できなかったとして、4000万円あまりの賠償を命じる判決が4月中旬に福井地裁で言い渡され、話題になった。

報道によると、2012年4月、大学生が運転していた車が、居眠りで運転操作を誤り、センターラインを越えて対向車に衝突。大学生の車の助手席に乗っていた男性が死亡した。

この車は死亡した助手席の男性が所有していたが、車の任意保険は家族以外の運転者を補償しない契約だったため、遺族への損害賠償がされない状態だったという。そこで、遺族は対向車側を相手に、損害賠償を求めて提訴していた。

今回の賠償判決を受けて、ネット上では、「本当の被害者は対向車の運転手だよな」「無茶苦茶な判決だ」など、判決を批判する声が出ているが、今回の判決は「理不尽」なのだろうか。交通事故にくわしい好川久治弁護士に聞いた。

自動車を運転していたら、対向車線の車が居眠り運転でセンターラインをはみ出し、自分の車に衝突した。そんな「もらい事故」で、過失がなかったことを証明できなかったとして、4000万円あまりの賠償を命じる判決が4月中旬に福井地裁で言い渡され、話題になった。

報道によると、2012年4月、大学生が運転していた車が、居眠りで運転操作を誤り、センターラインを越えて対向車に衝突。大学生の車の助手席に乗っていた男性が死亡した。

この車は死亡した助手席の男性が所有していたが、車の任意保険は家族以外の運転者を補償しない契約だったため、遺族への損害賠償がされない状態だったという。そこで、遺族は対向車側を相手に、損害賠償を求めて提訴していた。

今回の賠償判決を受けて、ネット上では、「本当の被害者は対向車の運転手だよな」「無茶苦茶な判決だ」など、判決を批判する声が出ているが、今回の判決は「理不尽」なのだろうか。交通事故にくわしい好川久治弁護士に聞いた。

●立証しなければならない3つのポイント

「判決の結論が『理不尽』かどうかは具体的な事実にあたらなければ判断できませんが、裁判のルール上、このような一見理不尽とも思えるような結論が出ることはあります」

では、今回の判決は、なぜこのような結論になったのだろうか。

「今回の判決は、自動車損害賠償保障法(自賠法)3条を根拠にしています。

自動車は、便利で日常生活に欠かせない交通手段である一方、1トンを超える鉄の塊が時速50キロも60キロも出して移動する乗り物ですから、危険なものです。いったん事故が起きれば、人の生命と身体に重大な危害を及ぼします。

自賠法は、このような自動車の性格を考慮し、危険な乗り物を所有する者、自動車の運行によって利益を得る者に、重い注意義務を課しています」

では、どのような注意義務があるのだろうか。

「具体的には、自動車の所有者などの『運行供用者』が、自動車の運行によって他人の生命と身体を害した場合には、次の3点を自ら証明しない限り、責任を免れないとしています。

(1)注意を怠らなかったこと

(2)第三者に故意や過失があったこと

(3)自動車に欠陥がなかったこと

この3点については、『運行供用者』の側で立証責任を負うとしているのです」

●控訴審で結論が変わる可能性もある

今回のケースに当てはめるとどうだろうか。

「今回の判決は、対向車線を走ってきた車の所有者が、(1)の証明を尽くせなかったために免責を認めませんでした。

つまり、裁判所は、『運行供用者』側に過失があるともないとも判断がつかなかったので、裁判の立証責任のルールに従って、証明を尽くせなかった『運行供用者』側を敗訴させたのです」

たしかに、今回の判決では、「対向車側の運転手が、どの時点でセンターラインを越えた車を発見できたか認定できず、過失があったと認められない」とする一方で、「仮に早い段階で相手の車を発見していれば、クラクションを鳴らすなどでき、前方不注視の過失がなかったとはいえない」と注意を怠らなかったことの証明が尽くされていないとしている。

ただ、「注意を怠らなかったこと」の証明は困難ではないのか。

「もちろん、本当にどちらとも判断がつかないのか、それとも居眠り運転をした側の一方的過失であったのかは、具体的な事実にあたらなければ分かりません。

仮に、対向車線をはみ出して走ってくる自動車の存在に気づいた位置を特定でき、その時点で直ちに停止措置をとったり、クラクションを鳴らしたりしていたとしても、衝突を回避することが到底不可能であったとしたら、責任は否定されることになります。

敗訴した対向車側が控訴して、その点の立証に成功すれば、高裁で結論が覆されることは十分にあると思います。」

好川弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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